日中対照言語学会員各位
2011年6月例会報告
日中対照言語学会6月定例月例会(6月11日18:00~20:00)は、大東文化会館K401で開催された。研究発表者は王学群(東洋大学)、テーマは「“了1”和“了2”」、司会は高橋弥守彦(大
東文化大学)が担当した。発表は約一時間、質疑応答も約一時間行われた。会場からは盛んな質問があり、王学群氏は丁寧に答えていた。
王学群氏は“了”を“了1”と“了2”に分けず、“了”の基本的な意味は“达界”であるとし、“达界”と“了”の文法的な意味の関係を詳述した。本研究発表は以下のようにまとめられるであろう。
(1)“了”の基本的な意味
“了”という文法マーカーについて、王学群氏の主張する“了1”と“了2”に分けない具体的な文構造や文脈などに縛られる場合の文法的な意味=“特定语法义”、および“特定语法义”を束ねる共通の文法的な意味=“达界”を“了”の基本的な意味とする。
王学群氏によれば、“终了界限达成、整体性观察、开始界限达成”は、“了”という文法マーカーの文構造や文脈に縛られた具体的な文法的意味であり、この三つの具体的な文法的意味を束ねるのは前述の“达界”である。“达界”は、この三つの意味から抽出した上位概念であり、“终了界限达成、整体性观察、开始界限达成”は、その下位概念である。
(2)特殊な文における“了”の働き
本発表で王学群氏は、“了”というマーカーが特殊な文(たとえば、“太好了!”)に用いられるときの文法的な意味についても言及した。その結果、このような特殊な文においても、“达界”からの派生的な用法として考えられる場合もあるものの、“了”は、やはり“达界”によって解釈することが可能である、という考えを明らかにした。
(3)なぜ一つの文に“了”が二回使えるのか
この問題について、王学群氏は、“了”は、一回は形態論レベルで動詞の語尾として用いられ、一回は構文論レベルで文末に用いられ、両者は異なる文法レベルであると分析している。両者は異なる文法レベルで用いられ、異なる働きをしているので、同一文中に同時に使うことが可能であると考えている。また、語尾的に用いられる“了”が省略できるのは、構文論レベルでの“了”が上位概念にあるものだからである、と考えている。
(4)[情态句]の出現説への批判
本発表では、最後に彭利贞(2007/2009) で[情态句] としている“了”を用いる文について考察した。そういう場合であっても、“了”の内的時間構造の意味を保っているので、決して「モダリティ」を表すのに使われているわけではないことを明らかにした。
(文責 高橋弥守彦)