日中対照言語学会10月定例月例会報告
日中対照言語学会10月定例月例会(10月15日[土]18:00~20:20)は、大東文化会館K401で開催された。研究発表者は2名、石井宏明(東海大学非常勤講師)、テーマは「昔話を使った発話訓練に関する報告」、高橋弥守彦(大東文化大学)テーマは「中日対照関係から見る中国語の受身表現について」、司会は豊嶋裕子(東海大学)が担当した。持ち時間各1時間、発表時間は約45分、質疑応答は約15分間行われた。会場からは盛んな
質問があった。
(1)昔話を使った発話訓練に関する報告(石井宏明 東海大学・非常勤)
中国語の基本的な文法と単語は学んでいるが、中国語での発話がなかなかできない学生を対象に報告者は発話訓練を実施した。
学生に発話させることを訓練の第一目標とし、発話で使われた文法の正確な知識を定着させることを第二目標とした。発話の背景として場面構成が複雑でなく、基本的な単語が使われ、「文芸作品」のように表現の細部までが固定されてなく、あらすじに肉付けする、つまりは表現に「ゆれ」があるとされる昔話を使うことにより、学生が基本的な単語で発話し、表現の「ゆれ」により、自分で考え想像したことを中国語で発話することを報告者は期待した。
この訓練について発話量の変化、使われた文法知識の定着状況を検討し、また学生の発話を観察した結果、前者の発話を受けて、後者がそれに応えると言った会話のような発話が見られたこと、会話を続けるために必要なCSのパラフレーズを発話で使っていること、「ゆれ」として学生が自ら考えたことを発話していることなどから、この方法は発話だけではなく、会話の訓練として使用できる否かを検討し報告した。
(2)中日対照関係から見る中国語の受身表現について(高橋弥守彦 大東文化大学)
周知のとおり、受身表現として、日本語には受身文があり、中国語には“被字句”・語彙上の受身表現・意味上の受身表現がある。日本語の受身文は動詞の形態として「レル」「ラレル」があり、中国語の“被字句”は“被”があるので、両者がともに受身表現であることは分かり易い。しかし、語彙上の受身表現と意味上の受身表現は受身表現としての標識がないので、受身表現であるか否かの判断が難しい。
本発表では、日本語の受身文と中国語の“被字句”を分析することにより、文意から中国語の語彙上の受身表現と意味上の受身表現を分析し、発表者は以下のような意味構造のある文を受身表現とした。
受身表現の意味構造:受事主体+特定される他からの影響のある出来事
この基準により、受身表現であるか否かを判断する。この基準によると、語彙上の受身表現と意味上の受身表現は、受身表現とそうではない文とに分かれる。