日中対照言語学会
The Association of Japanese Chinese Contrastive Linguistics
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『日中対照言語学会』1月例会の報告 

 

日時:1月21日(土)18:00~20:00 場所:大東文化会館K-402

 日中対照言語学会1月例会は中島克哉(「反語文と疑問文の曖昧さについて」)、洪安瀾(「日本語連語論から見る“在字句”の文構造」)(大東文化大学院生)の2名により研究発表が行なわれた。同大学の高橋弥守彦が司会を担当した。

1.中島克哉「反語文と疑問文の曖昧さについて」       

本発表は反語文と疑問文の曖昧さをいかに解決するかの研究である。反語文は、一般に疑問代詞や語気助詞、副詞などを用いる疑問文形式により作られる。多くの場合、これらを用いて疑問文も作れる。中島氏が反語文の研究を進めていく過程で、専門家の挙げる例と実例を分析していくと、反語文と疑問文とを判別する基準が曖昧であることが問題点として浮上してきた。中島氏の取り上げた問題点は以下の3点である。

ⅰ.反語文と疑問文の定義

ⅱ.反語文と疑問文の曖昧さ

ⅲ.反語文の日本語訳における曖昧さ

今回、中島氏が取り上げた問題は語気助詞と疑問代詞を使って作る反語文と疑問文とである。特に専門家の挙げる例文は前後のない例文が一つだけであるために、反語文ともとれるし、疑問文ともとれる曖昧な文がある。たとえば、以下のような文である。

(1)  你不是明天去京都吗?

君は明日京都へ行くんじゃないか?(反語文)

君は明日京都へ行くんじゃないの?(疑問文)

中島氏は上掲の例文を反語文としてとらえるのであれば、[君は明日京都へ行くんじゃないか?]ではなく、一般に言われている反語文の定義により、[君が京都へ行くのは明日のはずだ。]と、訳すほうがよいと主張している。

中島氏は、反語文と疑問文とが曖昧な理由を二つ挙げている。一つは、一つの文では日本人にはもちろんのこと、中国人にもどちらか判断しにくい文がある現実である。一つは、あまり感情を表面に出さない日本人は、日常生活の中で一般的にあまり反語文を使わないが、よく感情を表面に出す中国人は、反語文をよく使う傾向にある。そのため、日本語の反語文に訳すことはかなり難しいことが挙げられる。

反語文であるのか疑問文であるのかが曖昧な文を明確に区分するため、中島氏は本発表で、反語文と疑問文との違いを主に「現代中国語文法総覧」に基づき、『中国語学講読シリーズ 中国ショートショート』の言語事実を分析することにより明らかにした。中島氏は上記に挙げた3点の問題を以下のように解決した。

ⅰ.反語文は肯定型式であれば否定の意味、否定型式であれば肯定の意味であり、語気により語意が強く表現されている。疑問文は分からないところを尋ねる文である。

ⅱ.反語文か疑問文か曖昧な場合は言語環境によって解決する。

ⅲ.日本語は反語文をほとんど使わないので、反語形式ではなく、反語文の定義に沿った訳文にするほうがよい。

 これに対し、会場から反語文であるのか疑問文であるのか判断しにくい典型的な例文を挙げ、反語文に対する先行研究と中島氏の定義をさらに明確にする方がよいとの指摘と、一つの文には反語の意味が70%と疑問の意味が30パーセントある文もあるという指摘があった。

2.洪安瀾「日本語連語論から見る“在字句”の文構造」 

 洪安瀾氏は以下のような例文を挙げることにより、“在字句”の文中における位置から、“在字句”を基本形式(例1)と文頭式(例2)、動前式(例3)、動後式(例4)に分け、その特徴を説明している。

(1)他在床上。(基本形式)彼はベッドにいる。

(2)在床上,他躺着。(文頭式)ベッドに、彼は寝ている。

(3)他在床上躺着。(動前式)彼はベッドに寝ている。

(4)他躺在床上。(動後式)彼はベッドに寝ている。

これらは、一般には「ありかのむすびつき」として訳されるが、上掲の例文であっても、例(2)(3)(4)はいずれも[彼はベッドで横になっている]などとも訳せるが、この場合は「ありかのむすびつき」ではないとしている。上掲の文頭式(例2)、動前式(例3)、動後式(例4)は他のむすびつきに移行する場合があるとして、それぞれ具体例を挙げ、説明をしている。たとえば以下のような文である。

(5)睡在了呐喊山上的小庙里。(语料库《插队的故事》)

   呐喊山の小さな廟で寝た。(語量庫『遥かなる大地』)

(6)村里的一群孩子也提了小镢,追在我们的屁股后头。(语料库《插队的故事》)

   村の子供たちも小さな鋤を持って、われわれの後を追ってきた。(語量庫『遥かなる大地』)

また、“在字句”に関する中国人と日本人の学生に対するアンケートにより、以下のような両国の学生の犯しやすいそれぞれの問題点を指摘し、解決の方法も挙げている。

ⅰ.中国人学習者の場合、「空間詞+で」と「空間詞+に」のむすびつきを混乱している間違いが多い。   「行為の発生する場所」と「事物の存在する場所」を連語論により明らかにする。

ⅱ.日本人学習者の場合、“在字句”を「へ格」、「から格」、「を格」に訳すべきところに問題点が多い。   場所に関する名詞の格の違いを連語論により明らかにする。特に「到着する目的地」に対する理解が薄い。

会場からは日本語連語論の基本形式を挙げ、中国語の派生形式が「ありかのむすびつき」から他のむすびつきにどのように移行するのかを分かり易く説明する必要があるという指摘があった。

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