日中対照言語学会
The Association of Japanese Chinese Contrastive Linguistics
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日中対照言語学会会報(No.14)  2011年4月30日発行

会報担当:佐藤富士雄 高橋弥守彦

目次

1.日中対照言語学会2011年度第2回常務理事会議事録

2.日中対照言語学会2011年度春季大会(第25回大会)のご案内

3.4月例会

※ 事務局だより                                                               

1.日中対照言語学会2011年度 第2回常務理事会議事録

日時:2011年4月16日15時20分~17時20分

会場:東洋大学白山校舎甫水会館202会議室

出席者:佐藤富士雄(理事長)、高橋弥守彦(副理事長)、王学群(事務局長)、続三義(常務理事)、竹島毅(同)、安本真弓(同)、山口直人(同)、横川伸(同)、劉勲寧(同)

議題と審議結果:

1)春期大会並びに総会について

  日時:2011年5月22日(日)午前10時~午後5時

  会場:大東文化会館1階ホール

  発表者:6名

  講演:本会名誉会員で前理事長でもある横川伸先生にお願いする。

  当日の任務分担:大会委員長:山口直人氏、総合司会:(未定)、司会者:(未定)

  当日のアルバイト:昼食代を含めて1人6000円×5名

  プログラム:別紙の通り(未確定の部分あり)

2)特集大会(3年に1回)のテーマについて

  これまでに取り上げたテーマには、「アスペクト」、「補語」、「可能表現」、「ヴォイス」がある。

  次の特集大会のテーマは「モダリティ」とし、2013年度に開催する。

  関西地区で開催可能ならば冬期大会を当て、不可能であれば春期大会を当てる。

3)学会誌『日中言語対照研究論集』第13号の進捗状況について

  13篇の論文を収録。2011年5月の春期大会当日配布を目指して、現在編集作業を

  行っている。

4)『ヴォイス特集』論文集の編集状況について

  2011年10月中の出版を目指している。

  現在9本の論文が寄せられているが、査読を行うためあと数本の寄稿を期待している。

5)その他                                                                    

  1.学会誌『日中言語対照研究論集』査読委員長の交代について

    続三義査読委員長が来年2月末までの間きわめて多忙なため、その間、山口直人氏

    に交代する。

  2.執行部の満期交代について

    佐藤富士雄現理事長と会計担当の安本真弓氏は、2年間の任期を終えた後、1年間

    任期を延長して任務に当たってきたが、5月の春期大会で任期を終え、次の担当者

    と交代する。会計担当については椿正美会員に就任を打診する。理事長後継者の人

    選については、大会までに終了する。            文責:佐藤富士雄

 

2.日中対照言語学会 2011年度春期大会(第25回大会)のご案内

日中対照言語学会では、下記の要領で春期大会を開催します。会員の皆様には、奮ってご参加ください。また、会員以外の皆様の参加も歓迎致します。

日取:2011年5月22日(日)午前9時50分~午後5時

場所:大東文化会館1階ホール(JR池袋駅、北朝霞駅、川越駅から東武東上線に乗り換え、

「東武練馬駅」(各駅停車)下車、北口を出て「イオン(旧サティー)」右折徒歩3分)

 

               プ ロ グ ラ ム  

 9:30         受付開始

 9:45-10:00   開会の辞 佐藤富士雄(理事長)         総合司会 石井宏明

会場校挨拶 中村浩一(大東文化大学外国語学部長)

10:00-10:35   研究発表1 神野智久(大東文化大学院修了生)『現代日本語連語論に対応する中国語――「とりつけのむすびつき」を中心に』

10:35-11:10   研究発表2  臼田泰如(京都大学院生)『日本語依頼表現「(し)てもらっ

              て(も)いい(ですか)」に関する一考察――敬語表現の観点から――』

以上司会 豊島裕子(東海大学)

11:10-11:45   研究発表3  竹島毅(大東文化大学)『使役表現の教え方と日本語訳につい

              て』                司会 王学群(東洋大学)

11:45-12:45   昼休み(60分:昼食は各自でご用意ください)

12:45-13:40   記念講演 横川伸(本学会顧問)『日中国交正常化に見る言葉の交渉――多大なご迷惑を中心に』         司会 佐藤富士雄(中央大学)

13:40-14:15   研究発表4  薛華民(九州大学)『中国人日本語学習者のための中日漢字音

       対照研究』

14:15-14:50   研究発表5  王其莉(東北大学)『日本語の「なければならない」と中国語

       の“必须”』          以上司会 加藤晴子(東京外国語大学)

14:50-15:05   休憩15分 

15:05-15:40   研究発表6  飯嶋美知子(北海道情報大学)『テイルの日中対照研究――日

       本語の論説文における用法とその指導』

15:40-16:15   研究発表7 高橋弥守彦(大東文化大学)『日中対照研究から見る“回+空

              间词”について』        以上司会 続三義(東洋大学)

16:15-16:55   総会(40分)   

16:55-17:00   閉会の辞 山口直人大会委員長(大東文化大学)

 ※大会参加費:1000円(会員、非会員とも)。当日は入会申込みと年会費の納入も受

  け付けます。 社会人:4000円、大学院生:2000円

 文責:佐藤富士雄

3.4月例会報告

と き:2011年4月16日・土・18:00~20:00)ところ:東洋大学甫水会館202        

ひ と:神野智久(大東文化大学中国語学専攻修士課程修了)、高橋弥守彦(大東文化大学)

第1発表者:神野智久

テーマ:「中国語の副詞“倒”について ―会話における“倒(也)是”を中心に―」

 発表者は中国語テキスト・学習書・文法書・論文などの先行研究と言語資料とを分析することにより、副詞“倒”の中の一用法を言語環境から明らかにしている。これまでのテキストや論文などは、中国・日本を問わず文レベルでの研究が中心であり、言語事実の用法分析「逆接、譲歩、予想外、追求、催促の語気を表す」に終わっていた。これでは実際に“倒”を使う場合、学習者が“倒”を使いこなすことが難しいことに着眼し、“倒”がよく使われる言語環境から“倒”の一用法を明らかにしようとしている。

発表者は“倒”を用いる会話文の言語環境を分析し、“那是。”“那也是。”を「全面的な認め」、“那倒是。”“那倒也是。”を「妥協的な認め」としている。この研究により、“倒”の用法が部分的に理解し易くなったと言えるであろう。本研究方法と結論に対して、会場からの評価は比較的高いと思われた。しかし、今後の研究と更なる深化のために、いくつかの研究課題が会場から提起された。

第2発表者:高橋弥守彦(大東文化大学)

テーマ:「中日対照研究から見る“过+空间词”について」

 発表者の今回の発表要旨は以下の2点に絞られるであろう。

1.動詞連語と空間詞との関係

本発表は連語論の角度から、“跑过马路去”の“马路”がなぜ“过”の後、“去”の前に用いられるのかと、“过”と空間詞とがなぜ意味変化をする場合があるのかを明らかにしている。これまでは動補連語(高橋は動詞連語と言う)、たとえば、“跑过去”を教えるさい、場所名詞があれば、“去”の前に用いる(『実用漢語課本・日本語版』p.301)と言われてきたが、高橋はこの考えに問題があるとしている。

高橋は“跑过马路去”の構造を分析するに当たり、移動動詞の有する意味から、移動動詞を動態移動の動詞“跑”、位置移動の動詞“过”、趨向移動の動詞“去”の3類に分類し、“过”を用いる以下の4例(作例)を挙げ、これらの文の基本は“过+空间词”であり、一般に言う動補連語“跑过去”ではないとしている。 

(1)他们过马路了。

彼らは道路を渡った。

(2)他们跑过马路了。

  彼らは走って道路を渡った。                

(3)他们跑过马路去了。

  彼らは走って道路を渡って行った。

(4)他们跑过马路去她家了。

彼らは走って道路を渡り彼女の家へ行った。

高橋は連語論の角度から、上掲の文中の“过+空间词”を「空間的な通過のむすびつき」と名付け、動詞“跑”は運動の方式を表し、“去”は転移義を表し、“去她家”は「空間的な移りのむすびつき」を表すとしている。高橋の連語論からの分析によれば、この4例により、なぜ“过”の後に空間詞が来るのかが明らかである。これにより、上掲の各文中の“过+空间词”が基本となると、高橋は看做している。

2.単語の意味変化 

 奥田靖雄は、連語論の観点から、単語の意味変化は、連語のむすびつきの違いにより動詞に意味変化が起きることを指摘している。高橋も奥田理論の影響を強く受け、名詞にも意味変化が起きることを明らかにしている。高橋は単語の意味変化の起こる原因を3点あげている。それによれば、“过”は位置移動の動詞なので、“过+空间词”が基本構造「空間領域のくみあわせ」の中の「空間的な通過のむすびつき」(例5)であり、単語の意味変化は、動詞の後に用いる客体の違いによる「領域転換」(例6)、“过+空间词”で作る連語のむすびつきの違いによる「移行」(例7)、同一のむすびつき内部に生じる「類縁」(例7,8)から起こると言う。

(5)过了银行就是照相馆。(「空間領域のくみあわせ」作例)

銀行を過ぎれば写真屋さんです。(筆者訳)

(6)公路上正过着队伍呢。(「ヒト領域のくみあわせ」『八百詞』p.138) 

道路を隊列が通っているところだ。(同上)

(7)橘在江南为橘,过江北则为枳。(「空間的な移りのむすびつき」曾小红p.75)

“橘”は江南ではミカンだが、江北に移るとカラタチだ。(筆者訳)

(8)过了这条街就到了。(「空間的な通過のむすびつき」『八百詞』p.138)

この通りをぬければすぐに着くよ。(同上)

                          文責 高橋弥守彦

 

 事務局だより  

1)学会の入会は、日中対照言語学会ホームページ上で随時受け付けています。年間会費は社会

人4000円、院生2000円となっています。大会当日は会場での入会も可能です。皆さんの入会を歓迎いたします。

2)毎月の例会の開催は、郵送ではなく、メールにてご連絡させて頂いております。不明の方が

いらっしゃいますので、ぜひお知らせいただきたくお願い申し上げます。また、メール変更

につきましても、同様にお願い申し上げます。

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